始まりの国を離れ、
海の向こうで取引しよう。

始まりの国ではいろんな産物をつくっている。
そこで王様からの依頼で大海を渡り、産物の販路を開拓することになった。

海上には魔物がたくさん。しかも海賊に遭遇する危険もある。
パーティは大切な産物をまもりつつ、勇敢に船を進めていった。

海を越え、ようやく新天地へ。

ここから新しい探検が始まる。

日本海側からの輸出にむけた、
実証事業への参画

北陸(新潟県、富山県、石川県、福井県)から商品を輸出する場合はまず、太平洋側に集中している主要輸出港に輸送してから輸出するのが主流です。
しかし、太平洋側の港までの国内輸送コストが高いこと、そして、北陸の農林水産物・食品は「少量多品目」が特徴でそれらを束ねる輸出商社が少ないことが課題でした。
そんな中でも、北陸の農林漁業者や食品事業者からは環境が整えば、北陸地域の港から(日本海側から)輸出したいとの声も多いのが現状です。

このような背景から、国の実証事業が行われました。北陸の農林水産物・食品を、高品質かつ効率的に輸出する為、日本海側と太平洋側から輸出する場合の輸送コスト、所要日数、品質等を比較し、北陸地域の港の輸出基地としての優位性を見出すということが目的です。

当社では、これまで20年近くの輸出入の実績がありました。「これから海外展開を考えているお客様に地域商社として貢献できることがあるのではないか?」と考え、当社でもかねてからトライしてみたかった実証内容も含め、社内で検討し入札に臨んだところ、受託に至りました。

実証準備と商品の輸出

まず、実証事業で輸送する商品を集めるために北陸の食品メーカー様に商品提供協力を依頼して廻りました。実証事業で指定された品目(精米、パックご飯、日本酒、醤油、味噌、米菓等)を扱うメーカー様にご協力頂き、ありがたいことに126社、150アイテムのご提供を頂くことができました。

この商品を日本海側(新潟港、富山新港、金沢港)と太平洋側(横浜港、名古屋港、神戸港)の6つの港から香港へ向け輸出することになりました。「新潟・横浜」、「富山・名古屋」、「金沢・神戸」をそれぞれ比較対象の都市とし、比較対象どうしでコンテナ、製品、配置が同じになるように輸出しました。

今回の実証においては、コンテナ内を3温度帯(冷凍・冷蔵・常温)に区切る混載輸送や、データロガー(温度、湿度、衝撃を観測する装置)を設置しての耐久テスト等も行いました。
また、ひとつの車両で複数の仕入先を巡回し貨物を集荷する「ミルクラン集荷(牧場を巡回して牛乳を集荷することになぞらえてこう呼ばれる)」も実施しました。

創意工夫

輸出商品は弊社が買い取ることになりますが、国の予算で買い取る為、輸出先では一切商品の販売を行うことが出来ませんでした。

そこで、当社の海外拠点であるYokoyama Technology(Hong Kong)Ltd.の担当者と連携し、商品の配布先を模索しました。

こうして、現地のレストラン・居酒屋・関連事業者・非営利団体等に、輸送した商品をサンプル品として配布しました。 協力いただいた配布先や、商品の製造メーカーにも協力を依頼し、日本海側、太平洋側それぞれについて、「色」「鮮度」「香り」等、商品の品質に関するアンケートに回答していただきました。また、専門機関にもサンプル品を送付し、商品の品質に関する科学的なデータも収集しました。
これらのデータ分析に加え、コンテナに設置したデータロガーの結果も併せることで、両ルートにおける、輸送中の環境変化の様子と、製品の品質について、多面的な比較実証をすることができました。

実証結果と今後の展望

本プロジェクトの結果から示唆されることをまとめると、
①日本海側ルートでも、太平洋ルートと輸送日数の差は無く、遜色ない品質を保つことができる。
②輸送コストは金沢港から輸出した場合、割高となったが、両ルート間で大きな差は無かった。また、今後効率的にミルクラン集荷することによって、両ルートともに輸送コストを改善することができる。
③従来と比較して、低コスト、且つ、環境に優しい輸送方法(簡易梱包、紙パレット、簡易荷積み)でも品質を保つことができる。
④3温度帯の混載輸送は、品質の問題はなかったが、コスト高と作業効率の面で課題が残る。

当社としても、この結果は、未来に向けて北陸からの商品輸出拡大に繋がる道しるべとなったと考えています。
今後、当社が地域商社という立ち位置で、北陸地域港湾からの輸出拡大に係るサポートをさらに推進し、定期的な輸出物量を確保して混載便の輸出を担っていくことを⽬指していきます。